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3308年。わたしひとりを残し、人類は滅びました。なぜ滅びたのか、理由はわかりません。人類滅亡とともにあらゆる過去のデータは消失してしまいましたし、私自身もショックのためか記憶を失ってしまったからです。ただひとつだけ、奇跡的に消失をまぬがれたデータがありました。それは、人類文明がまだこの宇宙に存在していた頃の記録を残す、唯一のデータでした。それは "歌" のデータでした。その歌は、こんな歌でした。

「 きのこの山のその奥に、たけのこの里があったとさ 」

わたしはこの "歌" を手がかりに、人類滅亡前の世界がどういう世界であったのかということを解明しようと試みました。歌によれば、滅亡前の宇宙空間には、どうやら、きのこの山という山が存在していた。そしてその奥には、たけのこの里という里が存在していた。それは確かなようでした。でも、本当にそれだけだったのでしょうか。宇宙空間には本当にその2つしか存在していなかったのでしょうか。私は、"歌" には "続き" があるのではないかと考えました。たとえばこんな "続き" が。

「 きのこの山のその奥に、たけのこの里があったとさ
たけのこの里のその奥に、ザリガニの国があったとさ 」

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3368年。"歌" の研究をはじめてから60年くらいたちました。その間、何度も何度も、孤独の寂しさに泣きそうになりましたが、ガマンしました。歌の続きさえ分かれば、人類滅亡前の宇宙がどんなだったかが分かる。そしてそれさえ分かれば、あとは、それと全く同じ宇宙を造れば良いだけだからです。そうやって自分を励ましながら頑張って、そしてついに、歌が完成しました。それはこんな歌でした。

「 きのこの山のその奥に、たけのこの里があったとさ
たけのこの里のその奥に、ザリガニの国があったとさ

ザリガニの国のその奥に、消しゴムの寺があったとさ
消しゴムの寺のその奥に、ぬるぬるの丘があったとさ

ぬるぬるの丘のその奥に、抽象的な場所があったとさ
抽象的な場所のその奥に、五次元空間あったとさ

五次元空間のその奥に、お金がいっぱい落ちていた
お金が落ちてたその奥に、おいしいごはんが待っていた 」

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こうして、わたしは歌を完成させることができました。それと同時に、人類滅亡前の宇宙の姿を完全に知ることができました。わたしは、その歌のとおりに、世界を再構築しました。
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